「本」の未来をめぐる“若手”情報発信サイト

    第12回図書館総合展フォーラム:「本」の未来をめぐる若手パネルディスカッション 2010年11月24日(水)15:30~17:00開催

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    【パネラーインタビューその5】宮田和樹さん(実業之日本社)

    パネラーインタビュー第5弾は、株式会社 実業之日本社の宮田和樹(みやた・かずき)さんです。このパネルディスカッションのテーマの発想源でもある、ウェブ時代の本の生態系を取り上げた書籍『ブックビジネス2.0』を企画・担当された方です。
    miyata.jpg

    ―まずはご自身のこと、特に学生時代の話を教えてください。

    SFC(慶應大学藤沢湘南キャンパス)の環境情報学部の2期生です。希望を胸に環境情報学部に入学しましたが、どんな学部なのかを上手く説明できなかった。そこで、環境情報学って何だろう?というテーマで小冊子を作りました。はじめは、同じような気持ちの学生に声をかけて、あれこれ調査や議論をしました。せっかくだから、その成果を文章にまとめて発表してみるようにと相磯秀夫学部長(当時)に言われ、そのとりまとめ役になったんです。その小冊子は、授業のサブテキストとして取り上げてもらえて、多くの人に読んでもらうことになったんですが、今思えばそれが初めての編集経験かな。

    ―大学生のころからすでに編集をされていたのですね。そのまま編集者を目指したのですか?

    いえ、出版社の前はIT企業で働いていました。それに、学生時代は旅行作家か文化人類学者になりたかったんです(笑)。ブルース・チャトウィンって知っていますか? アボリジニーの神話を巡る彼の旅行記を読んで、自分も同じようになりたいと思っていました。
    「ソングライン」と呼ばれるアボリジニーの神話ってすごいんですよ。例えば、ある聖地から別の聖地への巡礼の物語を口承で受け継ぐと、行ったことのない砂漠の聖地へ実際に旅することができるといいます。ランドマークが読み込まれているだけでなく、その道が上り坂なのか、勾配はどれくらい急なのかを、歌うリズムの変化が教えてくれる。文字や印刷技術の普及で消えかけたこうした神話の力を、デジタルメディアの企画や設計にどのように活用できるのかに興味がありました。

    ―実際に、ブルース・チャトウィンのような旅行をしたのですか?

    ブルース・チャトウィンのように、とはいきませんが、オーストラリアへは2度、行きました。初めて行ったときは、自転車でオーストラリア大陸を縦断するつもりでしたが、ホストファミリーに止められました。若いのにはやまるなって(笑)。結局、長距離はバスや飛行機で移動して、それぞれの町の周辺を自転車で走りました。
    自分のノートパソコンを持って行き、電話の受話器を介してデータ通信をする音響カプラという通信機器を使って、旅先の様子をインターネットで発信していました。今はスマートフォンひとつで、文字だけでなく写真や映像も気軽に中継できるようになりましたが、当時はなかなか大変でしたね。奇異な目で見られることもしばしば。でも、そんな大変なことをしているのが面白い、みたいな感じで楽しみながらやっていました。
    その後、2度目の渡豪では、1ヶ月くらい、北部のダーウィンという町に滞在して、フィールドワークの機会をうかがっていました。よく戻ってきたなぁと思います。溶け込んじゃう人もいますからね。

    ※最初のオーストラリアでの旅を綴った旅行記「デジタル•ブーメラン」は、『10+1 No.8 特集=トラヴェローグ、トライブ、トランスレーション ― 渚にて』INAX出版、1997年に掲載され、現在は下記にアーカイブされています。
    http://tenplusone-db.inax.co.jp/backnumber/article/articleid/264/

    ―そのまま住み着いていたらどんな人生になっていたんでしょう?気になります(笑)。日本に戻ってからは、どうされたんですか?

    アカデミズムの世界に残るかどうか悩みました。大学で職を得ようと思うなら博士号を取ったほうがいいし、大学院で勉強するならアメリカだろうと考えていました。まずは1年間、札幌で論文を書いたりして過ごした後、カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)に語学学生として潜り込みました。そこで教えていた、デジタルメディア批評が専門の教授に相談して、聴講生としてゼミに出させてもらいました。5年間、アメリカで研究するかどうか、決めるためのテストという気持ちでした。課題のテキストもちゃんと読んで、レポートも出しましたよ。
    でも、レポート出した時点で、今、出来ることはやり切った、と思ってしまって。そのときはすでに30歳手前でしたが、アメリカでいろんな人から「おまえはいつまでお勉強を続ける気だ」って皮肉も言われてましたね。文化人類学になりたいだなんて、お前の家は貴族か?って言われたことも(笑)。ゼミで指導を受けたマーガレット・モース教授に、「アカデミズムの世界にゆくゆくは戻ってくるとしても、一般企業で働いた経験は役に立つはず。」と言われたこともあって、東京に戻って働くことにしました。

    ―実業之日本社の前は、IT企業で働かれていたんですよね?

    SFCを卒業しているから、他の人よりはウェブに詳しいだろうという思いもあり、最初はウェブ制作会社に入社しました。その後は、Yahoo、Microsoftでそれぞれ2~3年づつ働きました。
    YahooやMicrosoftでは、トップページのプロデューサーをしていました。検索窓やニュースなどのコンテンツのある、あのページですね。たった1枚のページですが、大量のトラフィックが集まるポータルの顔となるページなので、各サービスの担当との調整は、本当に大変でしたが、責任もやり甲斐も大きかったです。
    そんななか、ポータルサイトから一度離れて、ウェブの世界をこれまでとは少し違った角度から眺めたいと思うようになりました。出版社以外の選択肢も考えていましたが、ちょうどそのころ、実業之日本社の何人かと話す機会があって意気投合、転職を決意しました。

    ―世の中は出版からウェブへ流れているようにも感じます。その流れに反して転職するのは珍しいですよね?

    確かにそう思われるかもしれませんね。なぜ出版社に転職したのかは、結果論ですが、こんなふうに説明できるかもしれません。
    最初に就職したウェブの制作会社は、受託案件中心で、提案が通らないことも多々ありました。それならば自社サービスをやっているところで働きたいと、YahooやMicrosoftで仕事をしました。ポータルサイトは他の人たちが作ったコンテンツを集めて、探しやすくしますが、コンテンツそのものを作る機会はあまりありません。そこで、今度はコンテンツを生み出す現場を見てみたいと思い、コンテンツを作る業界の1つである出版業界へとやって来たわけです。もちろん、これから電子書籍が盛り上がってくるかも、という漠然とした期待もありました。

    ―まさに「電子書籍元年」とも言われ、盛り上がっていますね。今、電子書籍について感じていることはありますか?

    最近、青山学院大学で電子書籍いついてゲスト講師として話をする機会があったんですが、学生さんたちのセンスがよかったですね。キンドルの新しい機能を紹介しながら「ソーシャルリーディング(読書体験の共有)」について説明したら、「それならニコ動(ニコニコ動画)で、やったことあるよ!」って。キンドルのPopular Highlightもニコニコ動画の投稿も擬似同期コミュニケーションなので、確かに通じるものがありますよね。。KindleやiPadを使ったことがなくても、ポイントになるアイデアは既に体験している世代なんだなぁと。他にも、携帯型ゲームですれちがい通信ってありますよね。読んだ本のリストや感想をすれちがい通信で交換できるようになったら、電子書籍になっても、ハッピーハプニング的な本との出会いはなくならないのではと話してくれた学生さんもいました。そうなれば、街全体が広義の図書館機能を持つかも知れませんね。
    マスメディアが電子書籍を取り上げると、端末、プラットホーム、フォーマットという話になりがちですが、ウェブ時代の新しい読書スタイルのヒントを、私たちより更に若い世代は先取りしつつあるじゃないでしょうか。
    (追記:ニコニコ動画を運営するドワンゴと角川グループの包括業務提携の発表があったのは、このインタビューをまとめている最中の10月28日ことでした。)

    ―最後に、パネルディスカッションへの意気込みをお聞かせください。ちなみに梶原さんは、宮田さんこそが「本」の未来についての「答え」を持っているのでは?とおっしゃっていましたよ。

    答えは誰かが持っていたり、どこかに予めあるものじゃなくて、周りの環境に積極的に関わっていくなかで、ひとりひとりが作りだしていくものかもしれませんね。「本」の未来についても同じで、トライアルアンドエラーのスピードを上げて、どんどんいろんなことをして、失敗したり上手く行ったりするしかないんじゃないかな。
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